日本では、各企業のコールセンターの拠点を都心部から沖縄などに移管する流れが主流となりつつありますが、世界ではコールセンターの拠点をフィリピンに設ける流れが加速しており、世界中のコールセンターが集まる国として名高いインドを抜き、現在では世界シェア第1位へと躍進しました。現在、コールセンターで働くフィリピン人は68万人を超え、年間売り上げは110億ドルを突破するなど、中国・韓国・日本を含むアジアの中でも、最も経済成長が著しい国として、欧米を中心に高い注目が集まっています。
マイクロソフトや米シティバンク、IBMなど世界中で飛躍を続ける一流企業のコールセンターや、日系企業でも米パナソニックのコールセンターは現在、フィリピンにあります。フィリピンが選ばれている理由は幾つかあり、まずはコールセンター業務を行う上で必須スキルの英語力が高いことが挙げられます。
ネイティブの顧客を相手に話すことになるので、独特のアクセントが強いインドよりも訛りが少ないフィリピンが好まれています。そして、豊富な若年層の存在もフィリピンの経済市場が活性化している大きな要因となっています。
政府が誘致に対して積極的な支援を行っていることもありますが、フィリピン人の仕事に対する情熱も良い影響をもたらせているでしょう。インドは売り手市場のため、若者たちは賃金がより高い職場を求めて、すぐに辞めてしまう傾向にあります。景気がなかなか回復しない日本でさえも、このような現象が起きているのに対し、フィリピンでは離職率が低く、また「休まないこと」が何よりも重要とされている勤勉な国民性も、世界中のコールセンター業務の誘致に成功した勝因となっています。
高い水準で経済成長を続けるシンガポールやマレーシア、日系企業が密集し急成長を遂げているタイなど、東南アジアの発展は驚異的で、たった数年で街の景色はがらりと見違え、新たな文化や習慣が作られています。そして今、フィリピンも大きな変化を遂げている真っ最中です。多くの外資系企業がオフィスを置くことで知られているセブシティのITパークは、セブの裕福層や若者だけではなく、世界中の外国人が集まっている場所として、新たな観光名所となっています。
表向きはオフィス街なので、フィリピンの他の観光地のようなレジャーを体験することはできませんが、深夜や早朝でもガードマンが巡回している安全なエリアで、24時間営業のカフェやレストラン、美しい景観の中庭もあり、連日多くの人で賑わっています。
セブの新しいランドマークとなりつつあり、一棟が丸ごとレストラン街になっているビルや、スパや両替所、ヘアサロン、ドラッグストアなども集まっており、すぐ近くにはセブで一番大きいショッピングモールのアヤラモールがあり、有名ブランドの専門店がずらりと並んでいます。しかし、このエリアから少し歩くだけでアジアの活気溢れる雰囲気が広がっており、屋台や乗合バスのジプニーが目の前に現れ、近代化するフィリピンとアジアらしい街並みを同時に楽しむことができます。